ロックのギターレジェンドといえば、エリック・クラプトン、ジミー・ヘンドリックス、スティービー・レイボーン、ジェフ・ベックなどをイメージしますが、彼らが有名になる前、テンポのいい歌が中心だったロックンロールにヘビーで速弾きのブルースロック・ギタースタイルを持ち込み、皆これを聴いてインスパイアされてギターヒーローになったという伝説のギタリストがいます。
その名はロニー・マック(Lonnie Mack)。
1941年インディアナ州生まれでロカビリー、ブルース、カントリーやR&Bを聴いて育ち、10代でプロのギタリストとして地元のクラブやロードハウスに出演していたそうです。1963年にインストゥルメンタルで録音したチャックベリーの曲「メンフィス」がそれまでになかった軽快かつブルージーな速弾きギターサウンドでビルボードで5位にチャートインし一躍有名になったんです。
当時ギターを弾いていたジェフ・ベックやキース・リチャードはブルースに根差した刺激的なロニーの演奏スタイルに強く影響を受け、スティービー・レイボーン(SRV)はロニーを師匠と仰ぐほどに敬愛していました。
1960年代に何曲かのヒットを出し、フィルモア・イーストに出演したり、ドアーズのアルバム、「モリソンホテル」にギターで参加するなど大活躍の時期が有りましたが、所属のワーナーブラザーズの方針で製作したレコードでヒット作が出せず、音楽ビジネスに嫌気がさしてメジャーレーベルを辞めて生まれ故郷に戻ってしまい、忘れられた存在になっていきます。シンプルでストレートなブルースロックが信条のロニーには水が合わなかったようです。
以降田舎のライブハウスで演奏していましたが、1985年にレコード制作の話が持ち上がり、ロニーを師と仰ぐスティービー・レイボーンがプロデュースを引き受け、共演する形で出した久々の新作アルバム「Strike Like Lightning」が大ヒットとなり、以降自分のスタイルでブルースロックのバンドを続けています。
実はオレオクッキー・ブルースはこのアルバムの収録曲です。
そんなわけでブルースロックの大金期に不在だったために、ほとんどのギタリストに絶大な影響を与えたにも関わらず、未だに知らない人が多いという世渡り下手の伝説のギタリストがロニー・マックなんです。
アルバムヒットの後1985年に行なったツアーには、SRV、キース・リチャード、ロン・ウッド、ボブ・ディラン、ミック・ジャガー、ヴァン・ヘイレン、ポール・サイモンなど錚々たるロックの重鎮たちが復活のお祝いに駆けつけて共演したそうです。
このビデオは1985年にカーネギー・ホールで行ったコンサートの模様。
オールマンブラザーズ・バンドのギタリスト、ディッキー・ベッツが最初にロニーについてコメントしているのが泣けます。
VIDEO 今は無きブルースロックギターの天才、ロイ・ブキャナンとブルース界の大御所アルバート・コリンズが共演して「Further on Down The Road」を熱演しています。熱い!ブルースロックの原点を見る思いです!
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